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④カンボジアに旅して思ったこと

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4回目はカンボジアにおける遺跡観光スポットの話題に触れてみたい。

歴史を振り返ると、日本が平安~室町時代の頃、東南アジアにはクメール王朝が存在していた。

その王国は、約600年間もの間、現在のタイ東北部、ラオス、およびベトナムのそれぞれの一部をも領有するという巨大な勢力を誇っていた。

歴代国王は、即位すると自らの権力を示すため、次々に巨大な寺院を建造した。国王は神の化身であり、寺院は神と王が交信し、国の繁栄を祈る聖地というわけだ。

このことから、アンコール・ワットの周囲には千以上にもおよぶ遺跡が残っている。

緑濃い密林の中に現れる灰褐色の石による建築物の群れ。はるか昔、クメールの人々にとって、神々が光臨するこの世の中心だったことを意味する。

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「アンコール・トム」

アンコール・トム。門と城砦、寺院などから成る12世紀末の都市遺跡。超巨大遺跡の大きさは何と東京ドーム60個分の敷地面積。南大門、バイヨン寺院、象のテラスなど多くの遺跡がある。

気高い天上の塔と呼ばれるバイヨン寺院はアンコール・トムの中心に位置する仏教寺院。クメールの微笑みを称えた観音菩薩で有名だ。寺院には仏教の須弥山を模したものと言われており、祠堂の四方には巨大な顔が彫られた四面塔がある。また、回廊に彫られた戦いの様子や人々の日常生活など様々なレリーフが見どころ。

特に、回廊のレリーフが素晴らしかった。彫刻は隣国であるベトナム中南部に栄えた海洋国家チャンパ王国が、侵略のためアンコールトムに侵入。激しい抗争が繰り広げらた結果、チャンパを撃退し勝利を納めたことを表わしていた。さらに中国人軍隊や水牛、蓮の上で踊るアプサラの巫女、バラモン僧などさまざまなレリーフの数々。当時の社会に思いを馳せてみてはいかがだろう。

 

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「バンテアイ・スレイ」

アンコール・トムから車で40分、向かったのはバンテアイ・スレイ。ヒンドゥー教の寺院遺跡で、バンテアイは砦、スレイは女で、「女の砦」を意味する。こちらは大部分が赤い砂岩により建造されているが特色。規模こそ小さいが、精巧で深く彫られた美しい彫刻が全面に施されているは必見だ。

光の加減によっては赤く燃え立つような遺跡とクメール美術の最高峰といわれる寺院は、まるで美術館にいるような錯覚になる。
副祠堂の壁面には「東洋のモナリザ」と呼ばれる腰を少し屈めた美しいデヴァター象があった。

 

⑤へつづく