アンコールワット建造前に造営され、一説ではアンコールワットを凌ぐ規模であったとも言われる巨大寺院「ベン・メリア」。内紛や隣国アユタヤ王朝などの外敵の侵攻でクメール王朝が滅ぶと密林の中に埋もれてしまったという悲しい歴史をもつ。
建造されたのは西暦1000年~1100年。栄枯盛衰を経てその手付けずの状態は、廃墟そのもの。発見当時のままの姿は"荒廃の美"ともいえよう。木の根が建物を覆い、苔は生え放題、かつて寺院を型どっていた石は崩れ落ち瓦礫の山と化している。
ベンメリア遺跡は自然の風化による崩壊が著しいが、1000年以上の時の流れのなかで、苔と瓦礫と木々が醸し出す ”手付かずのまま感”こそが、逆に魅力的に目に映る理由なのかもしれない。