行って良かった温泉地が分かる温泉番付ランキング。12年連続で東日本の横綱(1位)に輝く草津温泉(群馬)は、期待を裏切らないトロトロな温泉だった。
首都圏から至近にありながら、これまで温泉といったら海とセットの伊豆、館山が中心。草津は気にはなりながら未踏の温泉地だった。
新型コロナが猛威をふるっている時勢、入浴効果による免疫力アップに加え日本有数の高い酸性度による消毒作用を期待した。巣ごもりより硫黄臭ただようオープンエアのなかで散歩し、温泉に入る方が良い。
草津の魅力、実は温泉だけでない。
古き日本の良さを堪能できる街並みをはじめ観光客を包み込むような癒しの仕掛け人は草津町の町長・黒岩信忠氏だ。
およそ10年前、草津は最悪の状態だった。バブル崩壊以降、観光客は減り続け、町中で閑古鳥が鳴いていた。湯畑の周りにあった大型ホテルは次々と廃業。建物が取り壊され、虫食いのように空き地が広がっていたという。
黒岩町長は、シャンパンタワーを思わせる湯畑を再生し客に”興奮の体験”を提供した。景観を壊していた空き地に総工費3億7000万円を投じて日帰り温泉「御座之湯」を建設など町並みを美しく磨くことに傾注した。
そして、それを実感した店主たちが、相次いで設備投資を始めたのだ。その数、実に70軒。その結果、観光客がさまざまな路地を散策するようになり、次第に湯畑から遠いエリアまで客が訪れるようになったというわけだ。
まさに事業再生の立役者。歴史がある温泉街の多くが寂れていくなか、時代の変化に合わせ、地域の資源を磨け上げれた成功事例となった。素晴らし過ぎる。
宿は草津温泉の高台に佇む「木の葉」。23種類もの多彩な湯船と2種の源泉が楽しめる。シャトルバス、コーヒー、湯上がりアイスや夜鳴きそば等の無料サービスも充実していた。もちろん、食事処にはアルコール消毒。デザートなどのバイキングは客に使い捨て手袋を徹底させるなど衛生面でも安心できた。
草津温泉に行ったらぜひ立ち寄って欲しいところが西の河原公園。
場所は湯畑から徒歩10分、お土産屋・饅頭屋などが並び観光客でにぎわう西の河原通りを過ぎると溶岩がゴロゴロ転がり、煙がもうもうと上がる荒涼とした河原に行き着つ。
河原のいたるところから温泉が湧きだし、足湯スポットが点在。また、公園を流れる川も温泉が混じり生暖かい。
公園の中には、西の河原露天風呂があるので、ぜひ、入って欲しい。自然に囲まれた眺望が最高。総面積は500㎡ある大きな湯舟にゆったり浸れば元気がみなぎってくる。
泉質は1000年以上の歴史は侮れない横綱級、事業再生を見事に成し遂げた剛腕町長、そして、古き良き日本の街並み、美味しいスイーツや食事の数々。「また来たいな」の魅力がある温泉地だと思った。
撮影機材:SONY NEX-7、Sonnar T* E 24mm F1.8 ZA